朝は雨が止んでいた。
少し肌寒い湿り気のある朝の空気を感じながら、バイト先に向けて自転車を走らせる。
バイト先までの1/3程度走ったところで「パァン‼」と急に自転車から音がした。
前輪からみるみるうちに空気が抜けて、自慢のスポーツタイプの自転車は能力を半分以上失ってしまった。
急にその機能に不具合が生じた自転車を見て、「ツイてないなあ」と思うと同時に、それは少し動くと動悸がしてしまう自分の姿を重ねて、「そこまで持ち主に似なくてもいいのに…」と少し落ち込む。
トボトボ来た道を引き返し家に自転車を置き、歩いて最寄りの電車駅に向かう。
明日もバイトなので、帰ったら自転車に行って直しておきたい。
自転車のパンク修理は1000円ちょっとくらいだろう。
人間の身体も自転車のパンクくらい簡単で安価に治ってしまえばいいのに。
バイトはいつもより忙しくなく、のんびりとした時間が流れる。
朝からトラブルがあったので非常に助かる。
「独立国家のつくりかた/坂口恭平」という本をバイト先で読み進める。
この本には家がないホームレスでも、人生を楽しんでいる生活例がいくつか出てくる。
「お金が無い今の自分にはうってつけだな」と考えながら、今日も1日に淡々と確実な1歩を残していこうと思った。
<追伸>
「青春狂走曲/曽我部恵一BAND」を聴きながら
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