昨日はひょんなことから知り合った高嶋さんと飲みに行った。
高嶋さんは自分と同世代で話が合うところが多く、3か月に1度程会う仲だ。
早い時間からの集合もあり、居酒屋はまだ空いていた。
高嶋さんが探してみた店はどうやらまだオープンしたばかりで、鳥が美味しい店だった。
久しぶりに飲んだお酒はレモンサワー。
ほろ苦く酸っぱい味に懐かしさを覚える。
高嶋さんには障害者手帳と障害年金のことなどを相談していたので、障害年金は落ちたが障害手帳は通りましたと報告する。
近況を報告し合うと偶然にもお互いに生活保護の相談を最近した話になり、高嶋さんの区は個室の扉がぶ厚かったと言っていた。
自分の住んでいる区の扉はペラペラで、防音も大したことなさそうなことに、それぞれの区の個性を感じた。
高嶋さんは現在働いていない。
そんな高嶋さんに「自分は借金で生活きついんですよねー」と言うと、「携帯のキャッシュバック案件が熱い」と言われる。
どうやら携帯の番号をとにかく契約して、キャリアを変えたらキャッシュバックがある案件をとにかく回ることで、お金が作れるということらしい。
高嶋さんは親戚にも頼んで携帯会社を一緒に回ってもらい、複数契約を管理して各キャリアを回って50万円程度の粗利を稼いで生活をしのいでいるそうだ。
携帯のキャリアには、キャリアをすぐに変更するとブラックリスト入りするので、それも注意して行うとアドバイスを受け、情報が回ってくるLINEのオープンチャットを教えてもらう。
携帯番号を「弾」という高嶋さんは、すっかり携帯業界(?)の人間が板についていた。
最近読んだ本で、街に捨てられているプラチナを集めて最終的にホテル暮らしをしているホームレスの話を読んだが、高嶋さんもまた世間の制度の歪みを利用して、無から有を生み出す錬金術師の様だ。
高嶋さんも障害を抱えており、働き方に制限がある。
障害を抱えているからこそ生み出した、生まざるえなかった知識を持つ高嶋さんを改めて尊敬する。
自分は「煩雑な手続きが体調的に負担かな」と思い、携帯のキャッシュバック案件は一旦保留としたが、心の中に保険ができたことに感謝する。
そこから、経済、政治、ChatGPTやお互いのプライベート、猫の可愛さやTiktokのダンス動画など話題は尽きることなく、あっという間に3時間の時間が過ぎた。
まだ時刻は20時を過ぎたくらいの時間だったが、自分はグズグズになるまで飲む主義ではないので、「そろそろ帰りますわ」と言い、会計をしてさっと店を出る。
飲み会はまた次に会うくらいの名残惜しさがあった方が良いをいうのは、自分の持論だ。
帰りのバス停まで高嶋さんと一緒に帰り、「じゃあ、また適当に」と別れた。
バスに乗る際には忘れずに障害者手帳を出し、障害者割引を受ける。
夜道を走るバスの窓から流れる景色を眺めながら、「また会う時はお互いにどうしているんだろうか」とぼんやり考えた。
お互いに20代の若者ではないので、自分の苦手なこと得意なことはある程度の経験をしている。
その上で現在の選択をしている(せざるをえない)自分達は、もしかしたら裏道を走り続けていくのかもしれないなと思った。
お互いになるようになることを祈って。
<追伸>
「月夜の道を俺が行く/a flood of circle」を聴きながら
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