3行紹介
①人間の自動的な行動パターンは、エネルギーや精神能力を節約できる利点はあるが、それにより愚かな間違いを犯してしまうこともある。
②この習性は様々なビジネスに利用されいるが、その大部分は「返報性」、「一貫性」、「社会的証明」、「好意」、「権威」、「希少性」の6つのカテゴリーに分類される。
③情報過多な現代こそ、この自動的な行動パターンによって決断する可能性が高まっており、自分の身を守る為にはこの原理の対策を持っておく必要があるだろう。
文章チェック
・頼み事をしてくれてる相手の好感度という、普通ならとても大きな要因の影響をいとも簡単にしのいでしまうところに、返報性のルールの強さが見て取れます。
影響力の武器[第三版]~なぜ、人は動かされるのか~(2014).ロバート・B・チャルディーニ (著), 社会行動研究会 (翻訳)、誠信書房
・返報性のルールには、悪用されやすい特徴がほかにもあります。逆説的な話ですが、本来は二人の人間のあいだの平等な交換を促進するために発展してきたこのルールを使って、非常に不平等な結果を導きだすことができるのです。
・ひとたび決定を下したり、ある立場を取る(コミットする)と、自分の内からも外からも、そのコミットメントと一貫した行動をとるように圧力がかかります。
・最初に小さな要求を飲ませ、それから関連するもっと大きな要求を通すというやり方には、「段階的要請法(フット・イン・ザ・ドア・テクニック)」という名前がついています。
・人には、書かれた意見は書いた人の本心を反映しているとみなす生来の傾向があります。この傾向の驚くべき点は、文章の作者が自由に意見を書いたわけではないと知っていても、やはりそう考え続けるというところです。
・社会科学者によれば、人は自分が外部からの強い圧力なしに、ある行為をする選択を行ったと考えるときに、その行為の責任が自分にあると認めるようになります。
・特定の状況で、ある行動を遂行する人が多いほど、人はそれが正しい行動だと判断します。
・社会的証明は二つの条件下において最も強い影響力を持つ。一つは不確かさである。
~(中略)~
第二の条件は類似性である。
・人は自分が好意を感じている知人に対してイエスという傾向がある。
・人や事物と接触を繰り返し、馴染みをもつようになることも、たいていの場合は、好意を促進する一つの要因になる。
・権威者に対して自動的に反応する場合、その実体にではなく権威の単なるシンボルに反応してしまう傾向がある。この点に関して、効果があることが実験で明らかにされている三種類のシンボルは、肩書き、服装、自動車である。
・希少性の原理によれば、人は、機会を失いかけると、その機会をより価値あるものとみなす。この原理を利益のために利用する技術として、「数量限定」や「最終期限」といった承諾誘導の戦術があげられる。
・現代生活のペースや形態に合わせて、こうしたてっとり早い反応に頼る頻度が、私たちの予想通りに増えていくなら、この種の手口も一層頻繁に使われるようになると考えて間違いないでしょう。
読書感想文
本書は、良書と聞いていたがずっと読んでいなかった。
ようやく読んでみたが、「何故もっと若いうちに読んでおかなかったのだろう」と後悔した。
1991年に初版が発売されていたとのことで、長いこと読み継がれている本はやっぱり必読だと改めて思う。
本書の序盤に書いている様に、著者自体が騙されやすい人間だったとのことで、承諾誘導のプロが使うそれぞれの「影響力の武器」に対してどう対抗するべきまで書かれている点で、日本の教科書にした方が良いと思うくらい良い本であった。
※騙す側にまわりたい人にとっても有用の本であることは間違いないが…
「返報性」、「一貫性」、「社会的証明」、「好意」、「権威」、「希少性」の6つのカテゴリーが本書では紹介されているが、この中でも自分が気をつけたいのは「返報性」、「好意」、「権威」かなと思った。
「権威」に関しては、コロナ後遺症の件で医者の持つ「権威」のせいで無駄な時間を過ごしたと思う。
そもそも未知の部分が多いウイルスで医者でもまだよく分かっていないという部分を考慮して、もっと早く自分の行く末をコントロールするべきだったと反省している。
また、「返報性」の部分に関しては自分が嫌いな人にも影響力が自動的に働くことにショックを受けた。
本書にも書いてあるが、ある程度の線引きで「この人にはどう思われてもいいや」という、開き直りが必要だろうと思う。
誰彼構わず敵と見直すのはリスクが多いが、世の中にはどうしようもなく合わない人がいる。
「その人とはギスギスしても構わないという心持ちでいた方がいいよな」と本書を読んで思った。
そして、1番厄介だなと思った武器が「好意」だ。
自分に対して「好意」を持っている相手を無下に扱うのは、やはり少し気が引ける…と同時に自分に1番近い関係性の人間、自分の場合で言えば同棲している彼女に自分の信念に沿わないことを要求されたらどうしようと考えた。
自分は彼女を世界一に信用している。
肉親よりも誰よりもだ。
なのでそんなケースはほぼ無いと思っている。
というよりは、自分は若い頃、当時付き合っている人と「そういう事」があったのがトラウマだ。
また同じことが起こった時のことを過度に恐れているだけだろうと冷静に考えて思った。
その時は「7つの習慣」でいうところの「ノーディール」、取引自体をしないという選択肢を忘れずに持っておかなければならないだろう。
てゆうかその前に、彼女におんぶにだっこなのは自分の方だ。
そう思い直し、少し自己嫌悪の状態になってしまった。
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